
物流ソリューションを考える<①「保管」編>
「物流ソリューション」。最近よく使われるようになってきた言葉ですが、具体的に何を指す言葉かご存じでしょうか?
企業の物流における課題を総合的に解決するためのサービス、システム、設備、手法の総称としてこの言葉が当てられるケースが多いようですが、実は明確な定義があるわけではありません。
しかし、どれも物流を形作る根幹的な要素の課題解決に根差したものであり、その要素を知れば体系的に考えることができます。
本コラムでは、多様な施策を含む物流ソリューションをテーマとしたシリーズの第1弾として、「保管における物流ソリューション」について解説していきます。
目次[非表示]
- 1.物流における保管とは:基本的な6つの考え方
- 1.1.保管における物流現場の課題
- 1.1.1.要因1:人手不足
- 1.1.2.要因2:スペース効率
- 1.2.保管における課題は「なくならない」
- 2.保管における物流ソリューション:上記課題を解決するには?
- 3.ジャロックの「保管」に関する物流コンサルティング事例
- 3.0.1.【事例①:フィット株式会社様】
- 3.0.2.【事例②:卸売業様 】
- 3.0.3.【事例③:飲料メーカー様】
- 4.専門家による改善提案のメリット
- 5.まとめ
- 5.1.★関連コラム
物流における保管とは:基本的な6つの考え方
そもそも、ビジネスの現場で「物流」が脚光を浴びるようになったのはごく最近ということもあり、「物流」という用語の定義を正しく理解できている方も多くありません。
物流業界で広く認知されている「物流の6つの基本機能」は以下のとおりです。
・輸配送
・保管
・荷役
・包装
・流通加工
・情報処理
一般向けのニュース等で物流が取り扱われる際は、一般消費者の目に留まりやすい宅配サービスのドライバーやトラックが物流代表として取り上げられることが多いのですが、これは物流の6つの基本機能の1つ(輸配送)に過ぎません。
正しくは、この6つの機能の総体が「物流」なのです。
こうしてみると、「保管」は、この”基本機能”に数えられるほど重要な要素であることがわかります。
保管における物流現場の課題
物流における保管機能を担うのは、主に倉庫や物流センターです。
その現場で直面している課題は多岐にわたりますが、特に深刻なのが「人手不足」と「スペース効率」の2つです。
要因1:人手不足
必要人員が増える一方で、高齢化の進行により強い肉体的負荷に耐えられる人員が確保しづらくなっており、多くの物流現場は人手不足に苦しんでいます。また、ECは大規模なセールを行う期間に注文が集中したりするため、時期によって必要な人員に大きな差があることも課題です。
要因2:スペース効率
取扱量の増加は保管スペースを圧迫していき、入り切らなくなった在庫は別の場所に保管せざるを得なくなります。
しかし、複数拠点に在庫を分けて保管してしまうと保管・管理コストが上がるだけでなく、場合によってはトラックで拠点間を移動して出荷する商品を集める「横持ち」が発生するなど効率性が著しく悪化するリスクがあります。
保管における課題は「なくならない」
上記2つの背景にあるのはECの急成長と、それに伴う保管に求められる機能の変化です。
在庫を置いておくだけでよい従来型の倉庫とは異なり、現代の物流センターでは注文された商品を必要数ピッキングしたり発送用ダンボールに梱包したりする人員が大量に働く場所になりました。
また、こういった改善は一度行えば終わりでもなく、物流施設は拠点拡大や生産体制の変更など、常に変化していく環境の中で日々稼働しています。それに対応しきれず常に課題を抱えているような現場も少なくないのです。
保管問題の解決について相談したい場合はこちらまで
保管における物流ソリューション:上記課題を解決するには?
では、物流現場の保管問題を解決するにあたって、上述の「人手不足」や「スペース効率」を解決するためにはどうすればよいのでしょうか。
人手不足を改善するアプローチ方法
人手不足の改善策として代表的なのは、以下の2点です。
・必要な人員を減らす
作業の効率化や省人化により業務をこなすために必要な要員数を減らし、少人数で多くの業務をこなせるようにするタイプの物流ソリューションが適しています。
・作業負荷を軽減する
身体的負荷の高い業務を伴う作業現場は求職者から敬遠されるため、「快適」かつ「キツくない」労働環境を提供することで人員確保につなげます。
また、重量物を持ち運ぶなどの重筋作業を機械化することも、作業負荷の軽減には有効です。これまで頼みにくかった女性や高齢者の従業員でも担当できるようにすることで、人材確保や離職の防止にも繋げることができます。
スペース効率を改善するアプローチ方法
スペース効率にかかわる領域については、以下の2点が有効と言えます。
・通路幅を狭くする
走行路や棚前の通路幅を狭くすることができれば、より多くの棚を倉庫や物流センターへ配置することができ、スペース効率が改善します。
棚奥までフォークが入らずに入出庫できる設計のラックや、移動ラックなどが広く提案されています。
・上部空間を活用する
ほとんどの倉庫や物流センターは天井高が5m以上と高いため、空中のスペースにも貨物を保管できればスペース効率は改善します。
物流ソリューション選定における専門的知識の必要性
とはいえ、このような知識があっても、自社の保管の課題に合致した物流ソリューションを選択することは容易ではありません。
「物流」が複数の要素で成り立っている以上、保管における最適なソリューションは、荷役や輸配送といった他の要素との兼ね合いも勘案して決定されるべきものです。
そのためには「現在の間口」「SKU(Stock Keeping Unit:受発注や在庫管理を行う際の最小単位)」「保管方式(パレット保管/バラ保管)」「1日あたり求められる入出庫数」「改善のために使える予算」など、様々な要素が必要となり、物流現場の各業務に関する豊富な経験と専門的な知見が不可欠です。
ジャロックの「保管」に関する物流コンサルティング事例
ジャロックには物流現場の各業務に関する豊富な経験と専門的な知見を備えた物流コンサルタントが多数在籍しています。
物流現場の設計からメーカーフリーの製品メンテナンスまで、物流現場のほぼすべての工程を社内で対応可能な体制が整っているため、通常のご相談はもちろん、代理店などの各物流コンサルタントも担当者と密接に連携したうえでクライアントへ最適な物流ソリューションを提案・提供することが可能です。
以下にジャロックが提案してきた物流ソリューションによって保管が改善した事例を何点かご紹介します。
【事例①:フィット株式会社様】
・ご相談時
現場改善のため、リボリューションファン(HVLSファン)とメザニンラック(中二階)の2製品を導入したい。
・ ジャロックによる提案
担当スタッフが詳しくヒアリングした結果、倉庫全体のレイアウトに課題を感じていると判明。
リボリューションファンでの庫内環境改善をはじめ、倉庫全体の効率的なレイアウト案について打ち合わせをした結果、ラックはメザニンラックではなく、より現場に適しているパレットラックや中量ラックをご提案し、採用いただきました。
★この事例に関してはインタビュー記事がございます。こちらのページをご覧ください。
【事例②:卸売業様 】
・ご相談時
移転先のスペースが狭く、商品保管スペースが足りないとお悩みだった。
・ジャロックによる提案
天井が高いので上部空間を活かし、ユニットメザニンラックを設置するのが良いのではないかと考え、上段はスライドラック仕様によるパレット保管、下段は中量棚による保管を提案しました。導入後、お客様からは「保管スペースが増えた」と喜んでいただきました。
【事例③:飲料メーカー様】
・ご相談時
飲料メーカーでは一般的なビールパレットを、4本爪のダブルフォークで運べる仕様のラックが欲しい。
・ジャロックによる提案
これまでに前例のない仕様でしたが、半自動ラック「シャトルランナー」を用いて試作検討を行い、4,704パレットを収納できる大規模なラックを設計し、採用いただきました。その後、他の現場でも同様の仕様のラックを導入していただいています。
≫ジャロックの改善事例はこちらをご覧下さい。
専門家による改善提案のメリット
物流ソリューション導入における専門家の活用は、以下のような利点があります。
メリット①:本質的な課題の把握
物流現場で起きている問題の背後にある構造的な課題を、専門家は豊富な知識と経験により把握できます。
例えばクライアント側は「現状の困難は人手不足が原因」と思っていても、改善ポイントとなる真の課題は「在庫管理の非効率性」だったというケースもあります。
専門家は様々なクライアントと接する中で頭の中に課題解決に成功した事例を蓄積しており、物流現場の課題を多角的に分析して真の課題を特定することができます。
メリット②:最新の物流ソリューションに関する知識
現在、物流ソリューションは急速に進化発展しています。
ひと昔前に大流行したソリューションが既に時代遅れになっていたり、高価だと思い込んでいたソリューションが低価格で導入できるようになっていたりするケースも多いです。
専門家は日々の情報収集を通じて最新の物流ソリューションに精通していますので、クライアント側が知らなかったような最新のソリューションを選択肢に含めた提案をすることができます。
メリット③:導入後の運用体制まで視野に入れたトータル提案
多くの事業者にとって、ソリューションは「納品したら終わり」であり、その後の運用やメンテナンスにまで責任を持ってくれるとは限りません。
短期的にはコスト削減に繋がったように見えた物流ソリューションも、サポートや保守運用も含めて長期的に見るとコスト増になってしまったというケースもあります。
専門家は単一の物流ソリューションのみで費用対効果を判断せず、物流現場の業務全体を俯瞰で見て、長期的に運用をするうえで最適な物流ソリューションの組み合わせを提案することができます。
まとめ
物流における保管機能は、ECの急成長により大きく変化しています。人手不足やスペース効率の課題に直面する中、様々な物流ソリューションが開発されていますが、その選定には専門的な知見が不可欠です。
ジャロックでは、豊富な経験を持つ物流コンサルタントによる無料相談を実施しております。
物流現場の課題解決に向けて、お客様に最適なソリューションをご提案させていただきます。まずは下記より、お気軽にご相談ください。
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★関連コラム
人手不足解消についてはこちらのコラムもご覧ください。
スペース効率についてはこちらのコラムもご覧ください。