
【事例あり】工場・倉庫の「人手不足解消」に有効な3つのアプローチ
物流業界では、慢性的な人手不足が続いています。
解決のために採用の強化や自動化による人員削減が注目されていますが、これらは高額な初期投資や長期的な準備期間が必要となるケースも少なくありません。
そこで本記事では、採用活動や自動化が難しい現場でも活用できる、人手不足を解消するための実践的なアプローチ(考え方)を3つご紹介します。
目次[非表示]
- 1.物流業界における人手不足の実態と現状
- 1.1.物流業界における人手不足の要因
- 1.2.手軽に行えない「自動化」
- 1.3.採用強化や自動化だけでは結果が出ない?
- 2.工場・倉庫の人手不足を解消する3つのアプローチ
- 2.1.1.特定の人でしかできない作業を他の人でもできるようにする
- 2.1.1.【改善事例紹介①:部品加工業様】
- 2.1.2.【改善事例紹介②:食品工場様】
- 2.2.2.働きやすい労働環境の整備
- 2.2.1.【改善事例紹介③:3PL倉庫様】
- 2.3.3.作業効率化を行い必要な人員数を減らす(省人化)
- 2.3.1.【改善事例紹介④:EC向け3PL事業者様】
- 2.4.人手不足の解消のカギは「必要人員の最適化」と「人の定着」
- 3.まとめ
物流業界における人手不足の実態と現状
人手不足解消について考える前に、まず業界を取り巻く労働の実態を知ることは大切です。
物流業界に関わらず、日本の労働人口そのものが減少の一途を辿っていることは周知の事実かと思いますが、こと物流業界における人手不足の背景には、それ以外の要因も絡み合っています。
物流業界における人手不足の要因
要因1:離職率の高さ
理由としては「仕事のきつさ」と「低賃金」が主な要因とされています。
長時間労働や体力的な負担が大きいため、若い世代でも仕事を続けることが難しいと感じる人が多いのが現状です。
要因2:賃金の低さ
また、多くの現場では、業務内容の負担に見合った十分な給与が支払われていないと感じる労働者が多く、その結果、他業種へ流出してしまうケースが増えています。
要因3:ECの需要増加
近年のEC需要の急増によって物流量は増加の一途をたどり、配送に携わる現場は慢性的な人手不足の状況。セール期間などで一時的に大量の人手が必要になるケースもあり、人の増減に対処しきれていない現場が多い。
上記のような背景があり、人が足りないのに、採用活動しても人が集まらず、採用ができたとしても辞めていってしまい、なかなか解消に至らない現状があります。
手軽に行えない「自動化」
もうひとつ、物流業界の人手不足を解消する手段として、最先端テクノロジーによる自動化が注目されています。
しかし、AIやロボットによる自動化を行う場合、高額な設備費用が必要であり、中小企業などは負担が大きく、諦めざるを得ない現場も少なくありません。
また、導入後に不具合や故障が発生した場合、業務全体に影響が及ぶ可能性があり、十分なメンテナンスやバックアップ体制の確立が不可欠であり、十分な運用に数年単位の時間がかかるケースも多いです。
自動化は人手不足解消に大きな効果を発揮できる一方、上記の点で、「いま人がいない」現場の解消策としては即効性に欠ける面があります。
採用強化や自動化だけでは結果が出ない?
さらにもうひとつ重要なのが、上記のように採用強化や自動化を行っても、職場環境そのものに問題がある場合、その効果は限定的になってしまうという点です。
例えば、ある作業を自動化しても、その機器の扱い方やシステムの管理を十分に習得する機会が与えられなければ、従業員が「スキルアップできない」「投げっぱなしになっている」と感じることも少なくないでしょう。
労働条件の改善やコミュニケーションの円滑化が不十分なままでは、人が定着せず離職してしまい、結果的に問題が解決しない可能性があります。
こうした背景を踏まえると、人を増やすだけでなく、まずは身近な部分から改善を図ることも重要です。
工場・倉庫の人手不足を解消する3つのアプローチ
人手不足を短期的に解消する方法として「職場環境の改善」という視点で考えるなら、以下のようなことに取り組むのが効果的です。
1.特定の人でしかできない作業を他の人でもできるようにする
いわゆる「属人化の解消」「多能工化」がこれにあたります。
力作業など特定の人だけが行える作業は、その人が欠勤や退職した際に業務停滞の原因となります。
製造業の場合、技術の継承はなかなか難しいところですが、できるだけ手順をマニュアル化し、スキルアップ体制を採用するなど、同じ仕事ができる人材を増やす努力が重要です。
また力作業を解消できる製品を導入するなどして、女性や高齢者、新人やベテランの隔たりなく誰もが同じ作業をできる体制を作れば、安定した業務運営を実現できます。
【改善事例紹介①:部品加工業様】
・導入前
傾斜のない工場内で重量物の搬送作業に苦労していた。
・導入後
アシスト台車を使用したところ、搬送の負担が軽減された。これまでは男性など限られた人しか搬送できなかった作業が、女性でも可能になった。
▶▶アシスト台車についてはこちら
【改善事例紹介②:食品工場様】
・導入前
10~12㎏の箱に入った製品を機械(ホッパー)へ供給する作業が丸1日かかり、大きな負担だった。
・導入後
テーブルの上にスライダーボードを2枚(全長1.8m)貼り、その上を滑らせて移送するようにしたことで、現場の負担は下がり職場のムードも良くなった。
▶▶スライダーボードについてはこちら
重筋作業の職場改善についてはこちらのコラムもご覧ください。
2.働きやすい労働環境の整備
過酷な環境や重労働は、離職の主な要因のひとつです。
特に倉庫作業の現場などは夏冬の室温が極端に暑く/寒くなり、業務に支障が出ることもあるため、温湿度管理や安全設備の導入、休憩スペースの充実など、従業員が働き続けられる環境を保つことが重要です。
「職場の室温を一定に保つことで生産性がアップした」というデータもあり、働きやすさを向上させることで、離職率の低下と定着率の向上に繋がります。
【改善事例紹介③:3PL倉庫様】
・導入前
倉庫が暑すぎて作業員や若い働き手が定着しない。
・導入後
倉庫内に空調の風が行き届いていないことがわかり、大型ファンを設置したところ見事解消。現場環境が改善され離職率の低下にもつながった。
▶▶ リボリューションファンについてはこちら
▶▶この事例の詳細についてはこちら
荷役作業の安全対策についてはこちらのコラムもご覧ください。
3.作業効率化を行い必要な人員数を減らす(省人化)
作業効率を向上させることで、その作業に必要な人員数を抑える考え方です。
作業内容を見直し、無駄を削減するほか、現場のレイアウト変更やバーコードスキャナーの導入が有効です。
また、自動化の範囲を一部にとどめ、人が行う作業と共存させることで導入までの期間や作業時間を短縮し、少人数でも効率的に運営できる現場を構築できます。
【改善事例紹介④:EC向け3PL事業者様】
・導入前
需要高騰による人手不足。しかし、作業内容やコスト面で完全自動化は難しい。
・導入後
60名の作業者が必要と考えられていた現場でサブスク利用できるAMRを導入したところ、20名での運用が可能に。1時間の処理工数も人だけの時から50%も向上した。
▶▶サブスク利用できるAMR(シリウス)についてはこちら
倉庫の省人化についてはこちらのコラムもご覧ください。
人手不足の解消のカギは「必要人員の最適化」と「人の定着」
上記で挙げた3つのアプローチ(考え方)は、採用活動や自動化に比べ、比較的短時間でコストを抑えながら即効性を発揮できる点が魅力です。
単に人を増やすだけでなく、小さな改善を積み重ねて従業員の定着を図ることは、必ず今後の物流業界の存続を左右する重要なカギとなります。
大掛かりな変革を行う前に、まずは手軽に実施できる改善策から着手することで、人手不足解消の第一歩を踏み出しましょう。
まとめ
人手不足解消のカギは採用強化や自動化だけではなく、待遇の改善や環境の整備など、働くうえでネックになりえる課題の解消ができる改善策を行うことが重要です。
ジャロックでは、こういったお悩みを持つ現場を解決してきた実績が多数ございます。
現場管理者の方々のお悩み解消を全力でサポートしますので、まずはお気軽にご連絡・ご相談ください。
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