倉庫自動化は可能?低予算でも省人化・人手不足が解消できる「半自動化」運用
物流倉庫では長期に渡り人手不足が叫ばれていますが、2024年問題に伴うトラックドライバーの作業時間の制限、ECサイト利用などによる配送需要の急増などでより一層人手不足が懸念されています。そのため、商品の入庫や保管、出庫などの一連の作業を自動化する自動倉庫の需要が高まっています。
とはいえ、自動倉庫導入にあたってはメリットとデメリットがあるので、自社での運用に適しているかわからないという方も多いでしょう。
この記事では人手不足を解決する目的としての倉庫保管改善の提案、および、在庫備蓄型の「DC(ディストリビューションセンター)倉庫」での省人化・保管に効果を発揮する2製品についてご紹介します。
目次[非表示]
- 1.人手不足解消に向けた「保管見直し」
- 2.自動倉庫のメリット
- 2.1.メリット①:作業時間の短縮
- 2.2.メリット②:スペースを有効活用できる
- 2.3.メリット③:人手不足による作業負荷を解消
- 2.4.メリット④:労働環境を改善
- 3.保管形態によって適した自動倉庫の種類が変わる?
- 4.オートムーバーについて
- 5.自動倉庫の問題点
- 5.1.① イニシャルコストが高価
- 5.2.② 定期的な法定点検が必要
- 5.3.③ 災害時は対策が必要
- 6.シャトルランナーについて
- 7.シャトルランナー導入のメリット
- 7.1.① イニシャルコストやランニングコストを抑えられる
- 7.1.1.オートムーバーとシャトルランナーの違い
- 7.2.②フォークリフトの作業時間や必要台数の削減
- 7.3.③ 地震の揺れに強い耐震構造
- 7.4.④ 傾斜ストレージラックと違い荷崩れの心配なし
- 7.5.⑤ 耐荷重性能に優れる
- 7.6.⑥運用に合わせたラインナップ
- 7.7.注意事項
- 8.導入事例
- 8.0.1.宮城県 栗原市 JA栗っこ様
- 8.0.2.千葉県 貿易企業様
- 8.0.3.岩手県 製造業様
- 9.まとめ
人手不足解消に向けた「保管見直し」
「人手不足解消」のために「保管見直し」が有効と言われても、イメージとしてあまり結びつかないかもしれません。
しかし、商品保管を見直す事は管理の側面以外にも、在庫の入出庫や受け渡しが楽になり、全体の配送時間を短くできるメリットがあります。限られた人員・時間のなかで作業しなければならないような現場では非常に重要な要素です。
適切な保管方法を選択することにより、商品の品質を維持しながら保管スペースを効率的に利用できるようになります。
自動倉庫のメリット
上記の解決策の一つとして効果的と考えられるのが、自動倉庫の導入です。
メリット①:作業時間の短縮
入出庫作業を自動化することで作業時間を短縮できるのが一番の大きなメリットです。
スタッカークレーン(自動倉庫の棚間などで荷積み荷下ろしをする機構)が荷物を奥に運んでくれるため、フォーク作業者が棚の奥まで入って入出庫をする必要がなくなり、トラックから荷積み荷下ろしまでのトータルの時間も短縮が見込めます。
さらに、入出庫のための作業者そのものも少なく済むため配送効率の向上、省人化にも繋がります。
メリット②:スペースを有効活用できる
荷物の移動を自動化する事でフォーク通路を節約できるため、限られたスペースを有効的に使うことができます。
平置き・平積み保管をしている現場では、立体保管になることで保管効率が向上します。
また、かなり上方までラックを伸ばす事ができるため、天井の高い倉庫では上部空間も有効に保管スペースとして使用できます。
メリット③:人手不足による作業負荷を解消
作業を自動化する事でスタッフの業務負荷を軽減でき、少ない人員で効率的に作業を行う事が可能です。
また人手不足の現場では、ひとりひとりの作業負荷が常に増大しています。
作業量増大に伴う商品の発送間違いや荷物の破損などのヒューマンエラーも防ぐことが可能です。管理システムを併用すれば商品の在庫状況をリアルタイムで確認可能となり、棚卸しや確認工程のスリム化に役立ちます。
メリット④:労働環境を改善
フォークでの入出庫、重量物の運搬など体力負荷の大きい作業が多く、新たに人を採用できてもすぐに離職してしまうケースも多いです。自動倉庫を導入する事でこういった作業を軽減し、従業員が長く働けるよう、定着率の向上を図る手段としても有効です。
保管形態によって適した自動倉庫の種類が変わる?
さらに、一様に自動倉庫と言っても、保管形態によって導入に適している現場と、そうでない現場があります。
以下に解説します。
DC型かTC型か
たとえば、物流センターの運用形態の種類として、TC型かDC型かということが挙げられます。これは言わば「通過型」の倉庫か、「保管型」の倉庫か、という事を指します。
DC型
ディストリビューションセンター(Distribution Center)=備蓄型倉庫
|
TC型
トランスファーセンター(Transfer Center)=通過型倉庫
|
せっかく自動倉庫を導入しても、運用に適していないラックだと省人化や配送時間の短縮に十分な効果が得られません。まずは自社の保管状況、保管形態を把握することが大切です。
オートムーバーについて
ジャロックでは、DC型倉庫向けの自動倉庫ソリューションとして、オートムーバーをご提案しております。
パレット保管用の多機能かつ完全自動のモジュラーシステムで、上下左右の移動が可能。
現状のパレット運用を行っているあらゆる業界において、完全自動システム化が運用可能になります。
備蓄型倉庫の保管改善でお悩みの方はぜひご検討ください。
自動倉庫の問題点
省人化・業務効率化に役立つ自動倉庫ですが、反面、気をつけなければならない点も存在します。
① イニシャルコストが高価
もっとも大きなデメリットといえるのが、初期導入コストが多額になる点です。
現場によっては管理システムの付け替えや搭載なども必要で、あわせて導入しようとすれば予算が更に高額になることも少なくありません。資金力が小さい企業では採算が取れず、導入を断念せざるを得ないケースも見受けられます。
② 定期的な法定点検が必要
さらに、イニシャルコストだけではなく、ランニングコストも高額になりえます。
自動倉庫の入出庫に使用されるスタッカークレーンは、導入後も定期的なメンテナンスが必要となります。法定点検で毎月の点検が義務付けられているため、長期的な目線で見るとコストがかかります。
③ 災害時は対策が必要
全自動のため、地震などの災害時やシステムトラブルの際、すべての動作がストップし、入出庫や納期に影響が出てしまうリスクが生じます。
また倒壊などを起こしてしまった場合、システムメンテナンスも必要なため通常のラックより復旧に時間がかかることも考えられます。
災害時の対策フローや策定が具体的に設けることで、万が一への事態に備える必要があります。
上記の通り、自動倉庫はメリットが大きい反面、デメリットもある製品です。
様々な理由で導入をお悩みのお客様のため、ジャロックではもうひとつの自動化ソリューションとして、水平流動格納システム『シャトルランナー』を提案しております。
次項ではシャトルランナーについて詳しく解説していきます。
シャトルランナーについて
倉庫自動化の商品として、ジャロックが提供するシャトルランナーを紹介します。
シャトルランナーはラックの間口に搭載されたシャトルが搬送機能を持ち、ボタン1つで入口/ラック奥まで自走が可能なパレットストレージラックです。
完全自動ではないものの、フォーク作業者の負荷軽減、作業時間の短縮などの課題もクリアした、省人化・人手不足解決に貢献できるシステムです。
シャトルランナー導入のメリット
シャトルランナーを導入する主なメリットを6つ紹介します。
① イニシャルコストやランニングコストを抑えられる
シャトルランナーはオートムーバーと違い、前後1方向にしか動かせませんが、行動範囲を絞る事で導入コストを低く抑えることが可能です。
オートムーバーとシャトルランナーの違い
オートムーバー |
シャトルランナー |
|
荷役形態 |
パレット |
パレット |
移動方向 |
上下、左右、前後 |
前後 |
導入費 |
高額 |
自動倉庫より軽減可能 |
メンテナンス |
任意 |
半年~1年に1回 |
オートムーバーは運用上、ラック内の任意の段へ移動する際に昇降用の専用リフトを伴います。
『シャトルランナー』は専用リフトを伴わない運用が可能で、メンテナンスも半年から1年に1回で済むため、ランニングコストのパフォーマンスも良いと言えます。
また1レーンからの小規模な運用も可能です。
②フォークリフトの作業時間や必要台数の削減
入出庫レーンの間口にセットしたシャトルが荷物の入出庫作業を行うため、フォークリフトでの取り出し作業をする必要がなくなります。
リモコンボタン1つの操作で4台までのシャトルを連続入出庫でき、継続しての運用が可能です。
③ 地震の揺れに強い耐震構造
シャトル(パレットを載せる部分)はバッテリー式のため、地震などの災害下でも動かす事が可能です。省人化とBCP対策を兼ねたソリューションとしても『シャトルランナー』は効果を発揮できます。
また、シャトルランナー用のラックは、ラチス構造と堅牢なフレームにより地震の揺れに強いのが特徴です。2016年に最大震度7の熊本地震が起きた際も倒壊しなかった実績があります。
④ 傾斜ストレージラックと違い荷崩れの心配なし
シャトルランナーで入出庫に使用するシャトルは、水平移動と衝突防止機能が搭載されているため、荷物同士の衝突や荷崩れの心配がありません。
フォークで入出庫する際、荷物をラックに入れれば自動的に荷物の間隔を詰めて整理整頓をしてくれます。
入出庫後のラック内での衝突事故や、荷崩れなどのトラブルがないため、安心して運用いただけます。
⑤ 耐荷重性能に優れる
シャトルランナーは、シャトル1台につき1パレット当たり1,500kgまでの積載が可能と、重量物の保管にも十分対応できます。
また、オプションで1パレット当たりの積載量を2,000kgまで増やせます。
精米が入ったフレキシブルコンテナバッグや飲料水などを載せて使用している現場もあります。
⑥運用に合わせたラインナップ
商品の保管状況や運用に合わせてシャトルランナーを選択できます。
例えば、常温用のSTANDARDモデルや-30℃までの冷凍倉庫対応のBモデルなどがあります。
ステンレス鋼(INOX)は、サビや湿気に強く、 食品衛生基準を維持させたいお客様向けに作られています。
また、PDAやAGVとのWi-Fi通信機能を搭載したセミオート・バッテリーシャトル(Wi-Fiモデル )もあります。
無人フォークリフトとの通信連携ができ、リモコンなしでの操作も可能です。
注意事項
シャトルランナーでの運用時には、積載荷重でたわんでしまうパレットは使用できません。
自動倉庫用の両面パレットの使用が推奨されています。
両面パレット以外を使用する際は、あらかじめ弊社までご相談ください。
また、シャトルランナーは、バッテリー満充電の状態で6時間から8時間まで走行可能ですが、その後は5時間の充電が必要です。
導入事例
シャトルランナーを導入した企業様の事例を紹介します。
宮城県 栗原市 JA栗っこ様
地域で収穫された新米のフレコン(フレキシブルコンテナバッグ)を生産者ごとに積み上げて保管していました。
また、耐震性のあるラックを導入したことで大地震があった際の荷崩れ・落下災害の心配もなくなりました。 |
千葉県 貿易企業様
倉庫の移転に伴って、上部空間を活用した商品の保管やピッキングのための棚をご希望でした。
|
岩手県 製造業様
シャトルランナー導入に際し、片面など多種類のパレットでの搬送ができるよう希望しました。 また、「2022年3月の大地震でも設備に問題は無く、フル稼働を続ける事ができた」とご報告いただいております。 |
このように株式会社ジャロックでは、お客様の要望に応えられる様々な導入をご提案することが可能です。
まとめ
物流倉庫に自動倉庫を導入すれば、デッドスペースを有効活用し業務負荷を削減することができます。
しかし、自動倉庫導入にはデメリットも存在するため、運用フローをよく確認し検討することが必要です。
シャトルランナーは、入出庫作業に費やしていた時間を削減し、作業効率を上げられます。他にも、安全性を高めたい、保管効率向上、耐震性向上など、メリットがたくさんあります。
ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
お客様の要望に合わせて柔軟に設計・対応いたします
シャトルランナー導入検討の際は、ご相談いただければ保管レイアウトから相談が可能です。
「シャトルランナーで倉庫保管を改善したい」「人手不足を解消したい」など運用のお悩みから、「4本爪のフォークリフトに対応できるようにしてほしい」「在庫管理システムを合わせて搭載したい」など、様々な仕様にも対応いたします。また先入れ先出し、先入れ後出しへの対応も可能です。
導入をお考えの際は、ぜひジャロックまでご相談下さい。
シャトルランナーについての詳細はこちらもご覧ください。
https://www.jaroc.com/products/keep/shuttle/shuttle_lp