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倉庫・工場の安全監査(EHS監査)とは? グローバル基準で求められる安全対策を解説

工場や倉庫の安全対策と聞いて、どんなことが思い浮かぶでしょうか。

個人レベルの確認徹底などは各企業でもちろん実施していると思いますが、第三者から見ても安全なレベルで考えるならば、一番身近な基準は労働安全衛生法をはじめとした各種法令の遵守かと思います。

最近では、ISO 45001に代表される各種OSHMS(=労働安全衛生マネジメントシステム)認証制度の取得を目指す国内事業所も増えています。

 

しかし「法令遵守やISO取得で安全対策は完璧である」という意識は、過去のものになりつつあります。

安全対策において重要なのは、上記の制定の背景にある"EHS=環境(Environment)、健康・衛生(Health)、安全(Safety)に基づいた対策を行うこと"なのですが、形式的に書類や体裁を整えるだけではこの本質がしばしば見過ごされてしまいがちです。

本コラムでは、そのEHSをはじめとするグローバル基準の安全対策の中身と基本的な考え方、導入する理由などを簡潔にご紹介します。

  

目次[非表示]

  1. 1.安全監査(EHS監査)とは?
    1. 1.1.法令遵守より上のレベルの安全対策
    2. 1.2.安全監査(EHS監査)のよくあるイメージ
    3. 1.3.なぜ海外本社は安全監査(EHS監査)に真剣なのか?
  2. 2.安全監査(EHS監査)が前提とするリスク制御の階層(=Hierarchy of Controls)
    1. 2.1.「EHS」の考え方
    2. 2.2.リスク制御の階層=ヒューマンエラーを前提とした国際原則
    3. 2.3.第3階層「工学的対策(=Engineering Controls)」の重要性
    4. 2.4.日本の現場に潜む死角
  3. 3.物流現場で必ず見直すべき「2大ハザードエリア」と工学的対策アプローチ
    1. 3.1.ハザードエリア①:通路
    2. 3.2.ハザードエリア②:プラットフォーム周辺
  4. 4.ジャロックが提案する「安全監査対策」ソリューション
    1. 4.1.開口部からの転落を強固に防ぐ「ドックガーディアン」
    2. 4.2.トラックを物理的にロックする「トラックグリップシリーズ」
    3. 4.3.物理的に歩車分離を実現する「セーフティガードシリーズ」
  5. 5.まとめ:安全監査をクリアするなら国際基準の安全対策を!
    1. 5.1.★関連コラム

 

安全監査(EHS監査)とは?

安全監査とは、自社の管理体制を見直し、安全上の危険に関してどのような欠点があるかを確認するものです。

法令遵守より上のレベルの安全対策

近年、外資系企業や多国籍企業の日本法人、あるいはグローバルサプライチェーンに組み込まれている倉庫・工場を中心に、この「安全監査EHS監査)」を追加で実施する事業所が増えています。
これらの倉庫・工場の多くでは、海外の本社から派遣された役員による安全監査を定期的に受けることになっていますが、日本における労働安全衛生法の順守やISO45001などより一段高いレベルの内容が求められることがあります。
 
ジャロックにも「既に十分な安全対策をしているのに、監査でまだまだ足りないと毎回指摘される。どのような対策をすればよいのだろう」というお悩みを相談されるケースが増えてきています。

 
 

安全監査(EHS監査)のよくあるイメージ

安全監査のよくあるイメージは「海外本社の担当役員や監査部門がわざわざ対象となる工場や倉庫まで視察に訪れ、消火設備の配置や非常口のクリアランス、通路のライン、段差などに細かな指摘を残していく煩わしい社内行事」といったものではないでしょうか。
指摘を受ける現場の管理者からすれば、安全監査は「気の重くなる厄介事」と感じるのも無理はありません。

 

 

なぜ海外本社は安全監査(EHS監査)に真剣なのか?

しかし、安全監査の本質は単なるあら探しや嫌がらせではありません。

海外、特に欧米に本社を置くグローバル企業に対しては社会的責任(CSR)への社会的監視が厳しく、これらの企業で労働災害や大規模な環境汚染といったインシデントが発生すると、長い時間をかけて築き上げてきたクリーンなブランドイメージが大きく損なわれたり、経営陣やマネジメント層の法的責任(GRC:ガバナンス、リスク、コンプライアンス)が厳しく問われて巨額の賠償訴訟に直面したりします。

 

これらの企業にとって、社会常識も法令遵守の基準も異なる世界中の拠点で同一水準の安全基準を設定して遵守させることは、企業存続を懸けた必要不可欠な活動と位置付けられています。安全監査が行われるのもこの理由によるものです。

 

 

安全監査(EHS監査)が前提とするリスク制御の階層(=Hierarchy of Controls

 

「EHS」の考え方

EHSは環境(Environment)・衛生(Health)・安全(Safety)の頭文字を取った略語で、日本では「環境及び労働安全衛生」と訳されることが多いです。

 

EHSという概念そのものは、環境に関する環境負荷への配慮や、衛生に関連する人体に有害な病原体・化学物質・放射線などからの保護を含む包括的なものです。
ただし倉庫や工場のEHS監査で特に注視されるのは、安全(Safety)に関連した取り組み――具体的には労働災害の防止です。

 

 

リスク制御の階層=ヒューマンエラーを前提とした国際原則

安全監査(EHS監査)では、5段階の「リスク制御の階層(=Hierarchy of Controls)」という国際原則を前提にしています。実際の監査や指摘もこの考え方に沿って行われます。その最大の特徴は「ヒューマンエラーを前提としている」ことです。

 

リスク制御の階層(Hierarchy of Controls)は原語のとおり逆ピラミッドで図解されることが多く、有効性の高い順に上から5つの階層で構成されています。

 第1階層「除去(Elimination)」

 第2階層「代替(Substitution)」

 第3階層「工学的対策(Engineering Controls)」

 第4階層「管理的対策(administrative controls)」

 第5階層「個人用保護具(personal protective equipment, PPE)」

ヘルメットや安全靴の着用といった「個人用保護具」は、作業員が着用を怠ったりする可能性を排除できず最も信頼性の低い対策とされています。
 
また、従業員の訓練や危険を示す標識の設置などの「管理的対策」も、ヒューマンエラーは起こり得るものという原則に立つと危険源を完全に除去することは困難です。
 
これに対して、第1~3階層ではヒューマンエラーが起きても安全が構造的に確保される対策であるという点で第4~5階層の対策よりも優れています。

 
 

第3階層「工学的対策(=Engineering Controls)」の重要性

リスク制御の階層における「除去(例:危険な工程そのものを不要とする)」や「代替(例:人体に有害な水銀や鉛を別の素材へ切り替える)」は、高い効果が期待できる一方で、全ての場面で適用できるわけではありません。
 
そこで、安全監査(EHS監査)の現場で注目を集めているのは危険源そのものの除去ではなく、人を危険源から遠ざける工学的対策というアプローチです。
 
工学的対策は「囲い込んで封じ込める」「隔離する」といった方法で危険源と人間の間に物理的な障壁を設けることで、ヒューマンエラーが起きても安全が確保されるとされています。

 
 

日本の現場に潜む死角

ここで考えるべきポイントになってくるのが、日本の倉庫・工場における安全対策に対する考え方です。
日本の倉庫・工場における安全対策は、伝統的に4階層(管理的対策)や第5階層(個人用保護具)に偏る傾向があります。

 
例えば、フォークリフトの通路にトラテープを引いて「進入禁止」と注意喚起したり、作業員にヘルメットを被らせて気を付けるよう指導したりして、対策を完了したと見なすケースです。
 
しかし、安全監査(EHS監査)が前提とするリスク制御の階層を踏まえて現場を見る監査員は「どんなに教育を徹底しても、人間は疲労や錯覚、焦りによって必ずルールを破ったりミスを犯したりする」前提で監査を行っているため、日本の工場・倉庫の安全対策は不十分であると見えてしまうのでしょう。
 
この安全監査(EHS監査)が前提とする考え方と、日本の工場・倉庫で広く行われている安全対策のギャップが、「気の重くなる厄介事」と感じさせる原因なのです。
 

 
実際、日本で労働災害が発生した際、「罹災した労働者がちゃんと場内の掲示を見ていなかった」と労働者側に責任があると総括されるケースや、再発防止策を「みんなが掲示をちゃんと見るように励行していく」といった社内教育の徹底に求めるケースは多いです。
 
これはEHSの採用する基準に照らすと、一度発生したヒューマンエラーは必ず再び発生するにもかかわらず、「事業者側はヒューマンエラーが発生しても安全が担保されるよう設計する対策(=フェイルセーフ)を放棄している」と見えてしまうのです。

物流現場で必ず見直すべき「2大ハザードエリア」と工学的対策アプローチ

 

前章でご紹介したとおり、安全監査(EHS監査)時に指摘されるポイントの多くは「ルールが破られた時でも命を守れるフェイルセーフ、具体的に言えば第3階層の工学的対策などが備わっているかに関するものです。
 
この章では、特に物流現場で労働災害が起きやすい2大ハザードエリアをメインに、それぞれに対して、具体的な工学的対策アプローチをご紹介します。

 
 

ハザードエリア①:通路

多くの物流現場ではフォークリフトが運用されています。
数トンの質量を持つフォークリフトと、周囲を確認しながらピッキング作業等を行う歩行者が同じ通路を共有している状態は、極めてハイリスクであり、安全監査(EHS監査)で指摘されやすいハザードエリアです。

 

 

日本の物流現場に多い床への黄色のラインテープだけでは、安全監査(EHS監査)時に「第4階層にあたる"管理的対策"しかしていない」「フェイルセーフがない」と指摘される可能性が高いです。
ここで求められるのは、強固な金属製のガードレールやガードポールを設置し、フォークリフトの稼働エリアと歩行帯を物理的・構造的に遮断する「工学的対策(第3階層)」です。万が一、操作ミスや不注意があっても、物理的障壁によって衝突を完全に遮断する設計が必要です。

 

さらに、防火シャッターの向こう側や見通しの悪い交差点など、死角の多い場所において、人や車両の接近をセンサーが自動検知してLEDライトや音で周囲に警告する「接近検知・警告システム」といった工学的対策の有無も、監査において高く評価されるポイントです。

 

 

ハザードエリア②:プラットフォーム周辺

日本でも建設ラッシュが続いているランプ型の大型物流センターには、トラックが接車するためのプラットフォーム(トラックヤード・ドックエリア)があります。プラットフォーム周辺ではトラックの発着と荷役作業が絶え間なく続くこともあり、物流現場において最も死亡事故が起きやすいハザードエリアの一つです。
 
特に重大なリスクとなるのが、「荷役作業中にトラックの運転手が誤って出発してしまう」「フォークリフトの出入りの衝撃でトラックが徐々に前方に押し出され、隙間が広がる”トレーラークリープ現象”の発生」の2点です。
この隙間にフォークリフトや作業員が転落する事故は、死亡事故にも繋がります。


 

クリープ現象による事故の例

 
この危険に対し、トラックドライバーに停車時にタイヤ輪止めをするよう要請する(管理的対策)ことで対策したとしている現場も実際に存在しますが、 安全監査(EHS監査)では対策が不十分であると指摘される可能性が高いです。
 
ここで求められるのは、プラットフォーム側からトラックのバンパーを物理的な巨大なフックで拘束する「自動車両拘束システム(ドックロック)」や、ドックの開口部からの転落を頑丈なバリアで防ぐ「落下防止ゲート(安全バリア)」といった、物理的対策(工学的対策)です。

 
 

ジャロックが提案する「安全監査対策」ソリューション

株式会社ジャロックでは、安全監査クリアのための重要な要素となるリスク第3階層、「工学的対策(Engineering Controls)」を物流現場で実現する様々なソリューションを提供しています。
 


開口部からの転落を強固に防ぐ「ドックガーディアン」

「ドックガーディアン(Dok-Guardian)」は、接車ドックの開口部やプラットフォームからのフォークリフトおよび作業員の落下を強固なゲートで防ぐ落下防止安全機器です。
 
ゲートは一度閉じると、システムによって安全が確保できない限り開かない仕組みになっており、人間の注意力に一切依存しない「工学的対策」の役割を果たします。 

 

 

トラックを物理的にロックする「トラックグリップシリーズ」


トラックグリップシリーズは荷役作業中のトラックの誤発進や不意の動きを物理的にロックする自動車両拘束装置です。トラックが停車する際にリアバンパーやタイヤを自動固定し、信号システムによって安全確保を周囲に伝えます。
 
手動で毎回設置する輪止めだけでは管理的対策とみなされやすいですが、トラックグリップシリーズであればより安全性の高い「工学的対策」をプラットフォームに実装することが可能です。

 

 

物理的に歩車分離を実現する「セーフティガードシリーズ」

倉庫内の通路において、人とフォークリフトの動線を頑強な柵や手すりなどで区分けし、いわゆる「歩車分離」を実現する安全柵です。ジャロックで取り扱っているセーフティガードシリーズは、素材や開閉式を選択でき、現場に合ったレイアウト構築が可能です。

まとめ:安全監査をクリアするなら国際基準の安全対策を!

安全監査(EHS監査)は、「親会社や監査機関に怒られないようにクリアするだけの面倒な手続き」ではなく、日常の運用に隠れた重大なリスクを物理的・論理的に排除し、従業員の命を守ることで、企業の持続可能性と信頼価値を高める活動の一部です。
 
安全対策のグローバル基準が大きく引き上げられより実効性の高いものになっている中、法令遵守やISO取得といった形式だけ整えた安全対策で満足して、安全対策への投資を渋っていては、事業継続に関わる重大インシデントの発生リスクを放置していることにもなりかねません。

 
現在すでに職場に安全監査がある、もしくは考えていきたいという案件があれば、まずはお客様の現場における課題や安全監査のスケジュールについて、お気軽にお問い合わせフォームからご相談ください。ジャロックが誇る安全対策のプロフェッショナルが、最適なご提案でお応えします。

 

★安全監査・倉庫の安全対策でお困りの際は、ジャロックへお気軽にご相談下さい。

株式会社ジャロック

      問い合わせリンク:https://www.jaroc.com/contact    
      電話番号    :0120-70-3810(受付:平日 9時〜18時)

 

 

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ジャロックは、単なるマテハン機器の販売メーカーではありません。お客様の現場に最適な「リスクアセスメント(危険性の事前評価)」から、世界の監査基準に適合する「工学的対策ソリューション」の選定・設計・施工まで、トータルでサポートいたします。
 
ピッキング作業を改善する際は、保管レイアウト、作業効率化、設備の導入といった複数の視点から現場を見直し、自社の課題に合った改善策を継続的に行っていくことが大切です。

▼ジャロックの複合ソリューションについてのご紹介はこちら

ほか、倉庫の安全対策について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

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