
ピッキング現場の人手不足解消──自律走行ロボット(AMR)がもたらす新たな効率化
「出荷量は増えているのに、人がいない」。
EC倉庫や製造業のピッキング現場では、そんな声が珍しくありません。
人が足りない中でも“止めずに回す”には、現場を支える仕組みが必要です。
そこで注目されているのが、 “AMR(自律走行ロボット)”です。
本コラムでは、倉庫ピッキングの人手不足解消のポイントと、それらをAMRによって解消した事例についてご紹介します。
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ピッキング作業を取り巻く現状
EC市場の拡大により、EC倉庫や製造業のピッキング作業は年々複雑化しています。
背景には出荷頻度の増加、商品の少品種多量化、それによる保管場所の煩雑化などがあげられます。
日本国内でピッキング作業に従事する人は約1,150,210人というデータがありますが、それでもなお人手不足に困っている現場は少なくありません。また、その8割強はパートタイムやアルバイト従業員が占めています※。
離職率の高い所も多く、人手がなかなか定着しない現場も多いのが現状です。
※厚生労働省「job tag」内、ピッキング作業員のページより引用
こうした中、作業者の負担を軽減しながら生産性を維持する手段として注目されているのが、AMR(自律走行ロボット)です。
AMRとは?
ここで少し確認しましょう。自走ロボットというと、一般的にはAGV(自動搬送車)を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、AMRはAGVとは明確な違いがあります。
AMRとは何か、そしてAGVとは何が違うのでしょうか?
| 項目 | AGV(無人搬送車) | AMR(自走搬送ロボット) |
| 主な用途 | 定型的な搬送作業 (例:パレットや部品の輸送) |
ピッキングスタッフのアシストや複数エリア間の移動 |
| 協働性 | 人と協働できない | 人と協働できる |
| 柔軟性 | 決められた経路に従うため、レイアウト変更には手間がかかる | 自由にルート選択ができ、環境の変化に適応しやすい |
|
導入のしやすさ |
誘導システムの構築が必要のため、初期費用が高い | 走行エリアの指定のみで簡単に導入でき、台数や走行範囲の変更も柔軟に対応可能 |
AMRは、固定されたレールやガイド線に沿って動くのではなく、現場内を自律的に走行し、作業者をサポートするタイプのロボットです。同じエリアでロボットが担う作業と、人が担う作業を自由に決められる点が特徴で、内容によって人には負担のかかる作業はロボットが、逆にロボットが苦手な作業は人が行う、といったことが可能です。
一方、従来のAGVはあらかじめ決められたパスに沿って動くものが中心で、行える作業も「搬送のみ」など単一のことしかできないものが多いです。自動化できた時の効果は大きいですが、導入までのコストも高く、出荷指示や最短ルートの走行も求める場合、大規模なシステム構築が合わせて必要となります。
ピッキングに限らず、一人の人が複数の作業を担うことが多い日本の現場では、AGVよりAMRのほうが合うという見かたがあります。
ピッキング現場を自動化するうえで考えるポイント
一方で、ピッキング現場が人手不足からの脱却として「自動化」を考えた際に重視すべき課題を以下に解説します。
現場課題①:人によるピッキング指示・伝達のムダ
多くの現場では、
・作業者がハンディ端末を見ながら棚を探す
・リーダーが口頭で次の指示を出す
といった人の動作や伝達がボトルネックになっています。
特に出荷指示の変更や品目差し替えが多いEC倉庫では、1つの指示ミスが流れ全体を止めてしまうことも。
出荷量が増加傾向にある中で、指示を出す側も、指示を受ける側も、“人手が足りない”だけでなく“人にしかできない作業が多すぎる”ことが、現場の負担を大きくしています。
現場課題②:作業者の経験差によるばらつき(属人化)
新人や派遣スタッフが増えるほど、「どの棚に何があるかわからない」「商品がある棚までのルートを間違えた」といった問題も増えます。
勘や慣れに頼ったロケーション管理は、ベテランなら問題なくても、新人には難しく、誰でも等しく効率的に動くのは難しいのが現実です。また、そのベテラン作業員も、繁忙期に応援人員が呼べず、人手不足の穴を自分たちで埋めないといけない状況が続けば、新人にそのノウハウを引き継ぐのは難しくなります。
こうした経験差はいわゆる「業務の属人化」を生み出し、そのまま作業効率差・離職につながる構造が現場には存在します。
こういった「ベテランの動き」を1台のロボットで完全にコピーしきるのは難しく、1人の代わりを複数台で行う、あるいはかなりのカスタマイズコストがかかるとされています。
ピッキング現場の自動化にはAMRの導入がおすすめ
AMRは、こうした「人手不足」や「属人化」の課題を根本から変えるロボットです。
前の章でも解説したように、AGVの場合、行える作業は単一であることが多く、「ピッキング作業の指示」かつ「移動もこなせる」ようなタイプは少数です。
そもそもが人のいたエリアを丸ごと自動化することを目的に設計されているため、同じエリアで「この作業はこのロボットではできないから、ここだけ人にやらせる」ということもできないのが現状です。
そうなると、ロボットに合わせて作業形態ごと全面入れ替えが必要となり、導入しても人と同じように動けず、プログラム修正を繰り返し、気が付けばコストが膨れ上がるだけで効率は上がらない…と言ったことも起こりえます。
その点、「指示出しも移動も可能」「人が必要な作業は人が行える」AMRは、AGVよりも柔軟性があります。すべてをロボットに任せきらないことで、AGVに比べて導入にかかるコストカットも可能といえます。
上記の理由から、ピッキング作業の場合、AGVをもって自動化の幅に柔軟性を持たせながら、人とロボットが協働して現場の課題をクリアするという、新しい作業スタイルの構築を進めるのが現実的と言えます。
AMR「シリウス」による支援──
指示も動作も自動化する仕組みへ

ジャロックが提供するピッキングAMR「シリウス」は、人と共存し、ピッキング作業の効率化を図るために作られたロボットです。
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AMR:シリウス(Syrius)の機能 ・作業者の「歩く作業」を肩代わり 作業者が商品を探しに行くのではなく、シリウスがエリア内を走行。作業者は棚の前で待機し、シリウスが来たら商品をかごに入れれば、シリウスがそのまま梱包エリアに運んでいくので移動負担を大幅に削減できる ・搭載ディスプレイで次のピッキング指示を表示 専用システムと連携することで、「どこに」「何を」「いくつ」取ればよいかをモニターで表示。新人でも同じ手順で作業できる環境を実現(技術の標準化) ・作業完了後は次の棚や梱包エリアへ自律移動 最適ルートで常に走行。結果、人が考える時間を減らし、ピッキングに集中できる環境が生まれる |
これによって「人の手が必要な所は残しつつ、時間のかかる所のみショートカット」する環境が実現します。
また、シリウスはピッキング現場に特化したロボットならではの、こんな特長も持っています。
・月額10万円(税別)~※の低額でレンタル利用可能、繁忙期合わせた台数調整も可能 ・マッピングは最初の走行のみ、既存の棚配置やシステムを大きく変えずに導入可能 ・事前シミュレーションおよび、区画ごとに段階的な導入が可能 ※契約最低月数は24か月からとなります |
上記のように、シリウスは可能な限り自らのコストカットをしつつ、これからのEC倉庫を支える「人に寄り添った」導入が可能です。
事例紹介:EC事業向け3PL・発送代行サービス業様

before
様々なEC事業者の発送代行を請け負う。大規模のため60名稼働していても人手が足りないほど。
・倉庫面積:約1万1400平方メートル
・1日平均出荷数:2.5万件
・ピッキング作業員数:60人/日
after
シリウス導入後、現場の生産性が大幅向上。最初は試験的な導入から徐々にエリアを拡大し、今ではピッキングエリア全体にシリウスが走るように。
| ・1日あたりの必要人員30名削減 | ➡66%効率化! |
| ・作業者30名+シリウス60台にした結果 | ➡月あたりの人件費が20%以上効率化! |
| ・1時間の出荷行数が50行/MH増加 | ➡出荷行数50%アップ&出荷数増加! |
まとめ:人とロボットが協働する新しいピッキング現場へ
物流業界では、人手不足の解消と効率化のため、日夜様々なロボットが開発されています。しかし熟練者の力に頼ってきた「ピッキング作業」は、コスト面から完全自動化が難しい面も多くあります。
ピッキング指示機能付きAMR「Syrius(シリウス)」は、まさにそのために開発されました。
倉庫の自動化は、すべてを機械に任せることではありません。
重要なのは、人の動きを支える“賢い相棒”を増やすこと。
人手不足の中でも安定した出荷を実現したい物流センター・工場の方は、ぜひ一度ご相談ください。
★ピッキング改善でお困りの際は、ジャロックへお気軽にご相談下さい。
問い合わせリンク:https://www.jaroc.com/contact |
シリウスは実機見学も可能です。ご希望の際は下記よりご予約下さい。
ジャロックショールーム「JTTC TOKYO(埼玉県新座市)」事前予約フォームhttps://www.jaroc.com/about_us/showroom/form |
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